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【校長室通信】第8号 表現できる環境づくり

校長通信「灰色の視座」 第8号 【表現できる環境づくり】  令和6年9月17日(火)

 9月に入っても暑い日が続く中、昨日は市内の5つの中学校で体育祭が行われました。日曜日の予定が天候不順のため順延となりましたが、天候に恵まれ盛大に実施できたようです。10月5日の中高合同体育祭も晴天に恵まれることを祈っています。
 さて、始業式に私が小学校の時に人前で話をすることが苦手だったというお話をさせていただきましたが、クラス全体に話すことはしませんでしたが、気を許す友だち2,3人には、前の日にあったテレビのドラマやお笑い番組のことを楽しく話すことはありました。時にはものまねなども入れて楽しく話をしている様子を学級担任の先生は見ていて、バスレクの司会や弁論大会の代表に選んだのではないかと思っています。
 私は校長になる前の昨年度まで33年間中学校の美術を教えてきました。6年間の教頭時代にもすべての学校で全学年の美術の授業をさせていただき、生徒たちの作品制作に携わってきました。作品が完成した生徒に、「作品を黒板に貼って、みんなに見てもらっていいですか。」と聞くと、約6割の生徒は断ります。作品の出来に自信がないからという理由だけでなく、「みんなには見せたくない。」、「みんなになんて言われるか不安だから。」という声がありました。表現するためには、安心して表現できる環境も必要となります。
 私が美術の最初の授業でしていたことは、自己紹介と生徒からの質問に答えることと、自分の中学校や高校時代のエピソードを話すことでした。私自身を生徒の皆さんに知ってもらうという思いからです。週に1時間しかない美術の授業でどんな人かわからない先生に、生徒が自分の表現した作品を見てもらうのは嫌だなと思うでしょう。そんな不安な気持ちを少しでも和らげるためです。中には中学校や高校の時の恋バナもありました。卒業する時に教科担任へのお礼のメッセージをもらうと半分以上の人が、「面白い話をしてくれてありがとう」と書いてくれました。今まで授業で出会った生徒の皆さんとは心を許すまではいきませんが、少なくとも変な気を使わずに絵や作品を作ることができたのではないかと思っています。
 千種中学校の生徒は小学校から9年間一つのクラスで過ごしています。常に一緒にいる分、良いところもそうでないところもよく見えています。自分と気が合う人、そうでない人もいます。ですが、それらをお互いが理解し認めあって、自分自身を表現できる人間関係を作ってほしいと願っています。自分と同じ考え方の人はいません。自分とまったく同じ表現をする人もいません。ですが、その人たちと生活していかなければいけません。中学校を卒業して、高校や社会に出たら、もっとたくさんのしかもいろんな考え方の人と付き合っていかなければいけません。生徒たちには中学生の今、いろんな考え方の人を認めて、付き合っていける対応力を身につけてほしいと願っています。そのために千種学をはじめとした様々な体験学習を通して、子どもたちの対応力を培っていけるように職員一丸となって取り組んでいきます。